2020/12/24 15:18

美祢社会復帰促進センターでは、林業の作業を刑務作業、職業訓練に取り入れ始めていて、林業とジビエは切っても切れない関係にある、というところまでを、前編では書きました。


山に木を植えることは林業の大切な根幹です。植林した杉など、まださほど背が高くなくて若い木の葉は、シカにとっては目の高さにあるご馳走です。植林したそばから、シカが芽や葉を食べてしまうので、林業にとってシカは害獣とされてしまうのです。
「山は動物たちのものなのに…」
私もそう思います。がしかし、自分の生活を見回してみると、山の恵みを動物たちに全て譲渡して、自分は一切受けずに暮らしていけるかというと、そうはいかないのが現実です。害獣駆除については、なかなか奥が深くて、「人間の都合でひどいことをする」とだけでは片付かないので、これもまた別の機会に。

センター長さんが、林業と刑務作業について熱く語られている時、私の頭の中には刑務作業の社会的な意義、罪を犯してしまった人と自分とが紙一重の違いしかないこと、などなどがフワフワと漂っている感じでした。罪を犯してしまった人の多くが、子ども時代の家庭環境に問題があったと前編で書きましたが、それゆえに、様々な面で経験に乏しいことが多いそうです。刑務作業を通じて、新しいことを知り、例えば委託企業がどんな事業を行なっているのか、自分が関わった作業がどのように使われるのか、どんな国でどんな人の役に立っているのか、などなど、自分が社会の一員であることを感じれば、犯罪という形で社会との繋がりを断ち切ってしまうようなことは、もうしないのではないでしょうか。自分と紙一重というのも、もし、自分の家庭環境に大きな問題があって、学校にも行けなかったり覚醒剤が身近にあったりしたら、私は今あるような人間でいられただろうか、と考えた時、私はそんなに強くない、というのが答えです。つまり、罪を犯してしまった誰かが、私が育った環境で育ち、私がその人の育った環境で育っていたら、刑務作業をするのは私だったかもしれない、ということです。「苦しい環境で育っても、誰もが犯罪者にはならないじゃないか」とのご意見、ごもっともです。でも、きっとそれが『紙一重』の差で歯車が狂ってしまうからなのではないでしょうか。

この時は、The Moonlight Dog & Co.を立ち上げて間もない頃だったので、いつか先々…というつもりで、思い切ってセンター長さんに尋ねてみました。実はジビエのドッグトリーツを作っていること、駆除されたシカやイノシシの90%以上が山にそのまま棄てられている状況を少しでも変えたいこと、そして、The Moonlight Dog & Co.のように小さな小さなブランドではあるけれど、刑務作業をお願いすることで、何かお役に立てるのか、と気持ちをぶつけてみました。かぶせ気味で「もちろんです!」と即答してくださったセンター長さんの、その後の動きがまた驚くほどに迅速でした。ブランドが育ってきたらそのうちに、と思っていた私はちょっとびっくりしたのが正直なところです。
美祢社会復帰促進センターは官民協働の刑務所ですので、刑務作業など諸々の業務を民間企業が行なっていて、そちらの担当者の方から後日すぐにご連絡をいただき、パッケージのラベル貼り作業をお願いすることが、あっという間に決まりました。

当時、そして今でも、ラベル貼りの作業そのものは、私が自分で出来ることです。その方がお金もかからないのかもしれません。それでも続けてお願いしたいと思うのは、もしかしたら、この作業をしてくださった方が犬を好きになったり、自然や環境問題に興味を持ったり、はたまた林業女子になったり、何かの思いを抱くようになるのかもしれない、と思うからです。

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